Cyzo サイゾー2021年10-11月号 山田杏奈(俳優)──注目若手俳優が演じた「学校という狭い世界から生まれうる“狂気性”」

 
【山田杏奈】注目若手俳優が演じた「学校という狭い世界から生まれうる“狂気性”」

思春期の揺れ動く複雑な感情を細かな振る舞いの一つひとつで丁寧に演じたという彼女。意外と大変だったのは自転車のシーンだったそうで……。



3年前、小誌に初登場したのは17歳。その記事を見て「若いですねー」と振り返る20歳に、まだまだ若いじゃないですかとつっこみたくなるが、きっとそれだけ濃密な時間を過ごしてきたのだろう。公開予定も含めて、今年だけでも5作の映画に出演する山田杏奈。最新作『ひらいて』では主人公の木村愛を演じているが、かつてないほど役に向き合うことになったという。

「本当に短く説明するとしたら、“高校生が好きな人の好きな人を取る話”とかになっちゃうと思うんですけど、それだけでは魅力は全然説明できなくて。高校時代って学校だけが世界になっちゃう子も多いと思いますし、私が演じた愛の葛藤とか狂気性はみんな抱えてたことがあると思うんですよね。でも愛は実際にそれを行動に移せてしまう子で。そういう衝動って、口で言うより感覚として、『うわ、痛いな』って思ってもらうのがおもしろいと思います。私は最後まで愛がわからなくてグルグルと考え続けてました。でも友達が好きだと知っている男の子にニコッとしたりとか、そういうのは演じてておもしろかったです。あと私、気にしてないですよって見せてて、実は人の目を一番気にして、恥ずかしく見られないように動いてる子だったりもして。だから普通だったら、ちょっと迷った動きをしてから行動するような芝居も、愛だったらそれはいらないかなとか。まばたきをあまりしないようにしたり、目をキョロキョロしないようにしたり、そういう細かな振る舞いで表現したいと思いました」

顔は笑っているけど、実は相手は自分のことを嫌っているかもしれない。みんなで楽しく遊んでいるけど、同時にそれぞれの内面では敗北感や優越感が交差している。作品を観ていると、そんな単純化できないぐちゃぐちゃとした思春期のリアルな感情が、細かな演技で映し出される。中でも感情の動きが垣間見えるシーンのひとつが自転車の描写。全編を通してとにかく愛は全力で駆け抜ける。

「自転車のシーンは何度も撮りました。実は自転車苦手なんです(笑)。でも愛が自転車下手くそだったらイヤじゃないですか。だから休みの日とかに、レンタサイクルに乗って川沿いとかを走ったりしてすごく頑張りました」

山田杏奈(やまだ・あんな)
アミューズ所属。埼玉県出身の20歳。2011年に「ちゃおガール2011☆オーディション」でグランプリを受賞しデビュー。『ミスミソウ』(18)で映画初主演を務め、『小さな恋のうた』(19)では第41回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞。21年には『樹海村』(W主演)、『名も無き世界のエンドロール』などに出演。10月22日には、綿矢りさの小説が原作の主演映画『ひらいて』が公開。さらに12月には、映画『彼女が好きなものは』が公開予定。


 

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